八重山三線工房が使う原木

八重山三線工房は、八重山産の原木のみ使用して三線を製作しております。石垣島に工房を構える当店ならではのルートから、八重山黒木や八重山ゆし木を手に入れております。よって、自ら確認した所在がはっきりしているものを取り扱いますので、正真正銘の八重山産の原木です。

 

特に当店で一番数多くオーダーされる八重山ユシ木は、築70年ほどの古民家を解体する際の建築資材から入手しており、地元だからこそ手に入る貴重な八重山産原木です。

 

昔の人はいつか家を取り壊す時に三線が作れるようにと、ユシ木を建築資材として利用していたそうです。築70年ほどの古民家のうち、大体3軒に1軒ほどの割合で三線づくりに適した木材が見つかります。

 

よって、当店にある八重山ユシ木は数十年以上の時を経て乾燥されており、捻れることなくすぐに削り出しが可能です。

 


八重山黒木とは

三線の価値は棹でほぼ決まるといっても過言ではありません。

三線の棹に使われる原木は、八重山黒木(エーマクルチ)が最高級とされています。

八重山黒木は変形が少なく、そして美しく伸びやかな、深みがあり、よく通る音を奏でます。現在は伐採禁止になっているため、入手が極めて困難な希少価値の高い原木です。

 

黒木の中には、芯に模様(ウズラーと言います)が入るものがあり希少ですがそれが黒木の特徴でもあります。八重山黒木の三線の価格を最も左右するのは、棹がどれだけ真っ黒に近いか、シラタ(白褐色の部分)が少ないかで決まります。

黒い部分だけで棹が作れる程太い芯を持った黒木の原木がほぼ市場に出回らないため希少価値も伴って、黒い部分の多いものは高価になります。

黒、黒と言っていますが、黒木にも色々種類があり、芯の黒い色も紫っぱかったり、赤っぽかったり、黄色っぽかったり。もちろん音に違いも現れるので一括りに黒木だから響く、とも言えないのもこれ又黒木の特徴です。なので作ってみないとわからない、オーダーを受け付けない理由の一つでもあります。

八重山黒木は現在伐採禁止ですが、民家の方から庭にあるものを交渉の上購入することで、何本か用意するようにしております。伐採直後の生木(乾燥が充分に進んでいない)の場合は、お客様に三線の棹として提供出来るまでに3年以上の歳月を要します。現在ご注文いただける状態の八重山黒木はほんの、数本です。

 

八重山黒木に関しては数に限りがあることから、完成品、またはセミオーダーのみのご注文を承っております。型は選べません。ご了承くださいませ。

商品はネットショップよりご覧いただけます。


八重山黒木で製作された三線


八重山ゆし木とは

八重山ユシ木

そもそもゆし木とは和名「イスノキ」と呼ばれる木で民家に使われる木としても人気があり、かつ高級なものでした。沖縄本島では防風林に使われるほど強固で、しなやかさをもつのがユシ木です。

 

三線の名器と言われる「開鐘(けーじょー)」をご存じでしょうか。その中で最も音が良いと言われる「富盛開鐘」が実は「ゆし木」で作られているのです。どんな音を求めるかで材料も違ったのでしょうが、黒木が居並ぶ開鐘の中に「ゆし木」があったのも、実際に弾いてみると頷けます。柔らかく優しくどこまでも響く音。実が詰まったしなやかなユシ木の実入りならではの響きは格別な音です。 

八重山黒木と同じく、伐採禁止となった今では三線の棹として充分な音を奏でるだけの実のしまったゆし木の実入り原木が品薄になっています。この先「ゆし木の実入り」も「八重山黒木」と同等に、またはそれ以上に品薄になり価格が高騰しています。



三線 ゆし木原木の断面図
ゆし木の断面イメージ図

現在、『ゆし木の実』の相場は30万円前後となっていますが、年々良いゆし木が手に入らなくなっていることから、値段はさらに上がりそうです。

 

ゆし木のランクは黒檀と同じく実の多さで決まるのが一般的です。ゆし木の真ん中にある芯の部分を実と呼び、周辺の白い辺境材と呼ばれる箇所をシラタと呼びます。芯は硬くしなるため、古くから三線の材として黒木と同様に重宝されてきました。

 

ゆし木は実の含有量が高いほど値段が高くなります。八重山産ゆし木の場合、実の色が黒ければ黒ゆし木、赤ければ赤ゆし木と呼ばれています。黒ゆし木のほうが希少性が高く、実の締まりが良いことから値段が高くなります。

 

ゆし木の実には濃茶の模様が入ることがありますが、この模様がスンチー塗りをすると際立ってきれいになり、人気です。


八重山ゆし木で製作された三線